動物行動学者ジェーン・グドール死去

5〜8分

「歳をとってよかったと感じることはそんなに多くはありません。ですが、長い人生で、数々の破壊や苦しみを見てきただけでなく、素晴らしいプロジェクトに携わる、尊敬すべき人たちにも出会うことができました。 私はある使命を託されて、この世に送られたのだと感じています。私に与えられた一つ目の使命は、「ヒトは動物界の一員であるという事実を、人々が理解する手助けをする」ことです。 二つ目の使命は、「人には一人ひとり役割がある、そのことをわかってもらえるよう働きかける」ことです。私たちは誰もが毎日、地球に影響を与えています。暗い時代を生きているとはいえ、たとえばゴミを拾うといった日常の小さなことや、木を植える、野良犬を保護するといったことでも、数百万人、数十億人が実行すれば、その積み重ねは大きな違いを生みます。言い換えれば、人は皆毎日、違いを生むことができ、どんな違いを生むかを選ぶことができるのです。 いま行動すれば、気候変動の進行を遅らせ、生物多様性の減少を抑えることは可能です。 三つ目の使命は、「私たちが生きるこの暗い時代には終わりがある、という希望を人々に与える」ことです。希望を失えば人は無気力になり、何もしなくなります。そうなれば、おしまいです。 私は91歳のいまも、一年のうち300日は世界のどこかを旅しています。というのも、講演をすると、その後よく誰かがやってきて「希望をすべて失って諦めていたけど、今後は、自分たちにできることをやる」と約束してくれるからです。同じようなメッセージを書いて送ってくれる人たちもいます。ですから、歩みを緩めるわけにはいきません。

あるとき、私は「次の冒険は何か」と聞かれ、一瞬考えてから「死ぬことです」と答えました。カナダでの講演の5000人の聴衆の間に、ショックを受けたような沈黙が広がりました。私はこう説明しました。 「死ぬとすべては無と化すか、あるいは何か……『物理的な死を超えた何かがある』と言われます。私は何かがあると信じています。そしてその『何か』が、何であるかを知ることほど、わくわくするものはないと思うのです」

世界的動物学者ジェーン・グドール氏が亡くなった。「人は使命を持って生まれてきた」の言葉は、今をただ何となく生きている人の目を覚まさせる。この世界はロールプレイングゲームのように、目的があり、キャストにはそれぞれの役割がある。この世界も同じようなものだ。チンパンジーの研究に没頭し、年老いてからは講演で世界を飛び回る。彼女の役割は「チンパンジーを研究し、人の本質を知る」「それを世界中に知らせる」であっただろうか? 私は「動物や人より物を研究する」という世界に生きている。「人を変えるより自分が変わるほうが簡単」という安易だが私らしい生き方をしている。

いつからか「人は使命を持って生まれてきた」私もそう思うようになった。

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