水ガラスから合成シリカ粉を作るときに、シリカゲルを酸処理するのだが、通常はEL塩酸を使用していたが、日本と中国ではEL塩酸の純度が異なる。不思議と塩酸の入荷ロットごとに合成シリカの鉄濃度が違ったのだ。EL塩酸についてはおかしなことがあった。どうも濃度が違うように感じていた。ある時、塩酸のメーカーから電話があり、代理店が希釈して出荷していたというのだ。使っている水は超純水ではないようだ。希釈することで利益を水増ししていた。それからは濃度は一定になったが、合成シリカの鉄濃度は塩酸のロットによって変動した。ふつう日本ではEL級といえば不純物は1ppbレベルだろうが、中国では0.1ppmレベルだった。思い込みとは恐ろしいものだ。シリカゲルは鉄を吸着する。そこで純度の良いフッ酸を使ってみた。見事に純度は上がった。焼成したらOH含有量は0になった。フッ酸によってSi-OHがSi-Fになったのだ。当然粘度は下がる。プラズマ溶融も簡単だった。無気泡が一発でできた。これを調べたら160nmくらいまで透過率が良かったし、もちろん赤外吸収もなかった。
文献を調べたら、分相ガラスをエッチングしたガラスとNH4Fの組み合わせてSi-F結合を導入した文献があった。ただ水ガラスから作ったシリカゲルにHFを反応させた例はなかった。ただ評価設備を導入できなかったために、それ以上はできなかったが、この方法だと、フッド分布が均一になり、脈理も少なかった。この特許はこの間中国で公開になった。これをもっと研究してレンズとして実用化したい。そんな風に思っている。