世の中にないものを作る

4〜6分

 ソニーの新製品開発のやり方:「FLEXIBLE CONTROL AND PROGRAMING SYSTEM」(略称FCAPS)が当事者より初めて公開されたのは、画期的なことだった。  「プロジェクトのリーダーに開発から、製造、販売までの、新製品に関してのプロフィットセンター的責任と権限を持たせる」あたかも映画監督が一気呵成に劇場映画を世に出すやり方をソニー新製品開発に持ち込んだものだった。 「基本とするスケジュールは、最も楽観的見方で立てた最短のものとする」  楽観的見方とは、たとえば新規に起こした半導体も、一発完動で手に入り、生産も垂直立ち上げで出来る、といったリスクはあるが出来ない相談ではない次元を、あらゆるプロセスに適応して、最速となる基本スケジュールを打ちたてる、ということなのだ。  そして次のステップは、スケジュールに組み込まれている全てのイベントのリスクを数値評価してAランク、Bランクといった、リスクの高いもの順に評価する。  評価し終われば、基本スケジュールを妨げるリスクの高いAランクのイベントには、問題となる部分を、別のやり方の代替案を2つも3つも並行して走らせ、危ない部分で一つのやり方が失敗したとしても、他のやり方が走っているからリスクが大幅に下がって、全体スケジュールに影響を与えなくなるのだ。  トランジスタのライセンスはソニーよりもNTTの研究所や富士通や、日本電気や東芝の方が早く手に入れていた。こうした大企業の研究所は、得てして蛸壺のような存在で、ああでもない、こうでもないと、いじり腐し、論文は発表できるが、ビジネスにはつながらない。  こうした会社の特徴は、トップが多額の研究費を与えて「何かを発明してくれ」といったところで、成果は全く望めないのだ。  中小企業だったソニーは、イメージした最終商品を構成する部品や材料が世の中に無くても、ゴールのイメージを明確化することが成功する上での1番大事なこととしていた。トップの役割は、エンジニアたちに目標を与えるが、やり方はすべて任すという姿勢が必要なのだ。

このやり方が変わったのは、アメリカ流の経営を日本に持ち込んだからだ。トップダウン方式は日本には合わなかった。報告書や会議が増え、無駄な仕事が増えっていった。予算の管理され、エンジニアは飼い殺しとなった。トップや上司は部下がやりやすいようにするだけでいい。でもそんな時代は終焉した。昔に戻る?

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