水ガラス

5〜7分

コロイダルシリカは、1925年にJ.G.Vailによって発明された。水ガラスからコロイダルシリカを作る研究は1950年頃から米国デュポン社で精力的に行われた。HORACIO E BERGNAは30の論文の著者であり、コロイダルシリカ合成などの主題で31の米国特許と200を超える外国の対応する特許を取得している。

1968年、Stoberはアルコキシシランからコロイダルシリカを作り、超高純度のコロイダルシリカを作ることができるようになった。デュポンの著作にもあるように、水ガラスは安定化イオンである塩素やナトリウムイオンが多く含まれているため、メタルコンタミが避けられないために、超高純度品はできないと言われていた。

1998年、私は水ガラスから高純度の合成シリカ粉を作ろうと挑戦した。デュポン社の「水ガラスから高純度のコロイダルシリカはできない」を読んでいたのだが、私はなぜできないのかというのが分からなかった。そうしたら6ヶ月足らずでできたのである。彼らが言ったことは理論的でなかったのである。

コロイダルシリカはミクロの世界である。TEMなら見ることはできるかもしれないが、頭の中でイメージを想像できる。Si-O-NaのNaをHで置換すれば、Si-OHになる。OHは脱水重縮合し、小さな球となる。球の内部はSi-O-Siのシロキサン結合となり、球表面にSi-OHが存在する。実際は球には小さな穴が開いており、その穴の中にもSi-OHが多数存在する。このコロイダルシリカをX線散乱や中性子散乱で解析すると、特異な散乱ピークが観測される。すなわち、Si-Oの正四面体構造がすでにできているのである。乱雑な構造と規則的な局所構造が動的に共存するのであるのは驚きだ。正四面体構造のシリカができているのであれば、不純物は単独、あるいはSi-O*と結合しているのである。電荷を調整すればシリカはゲル化する。安定な正四面体構造が増えていくことにより、後戻りはできない。水は吐き出される。イオン化した不純物はその水に溶けていく。

デュポン社でもできなかったことができたのはなぜだろう。私の場合は、できなくてもいいからやってみるかという簡単な気持ちがあったからだと思う。テストに金がかかるわけでもない。そしてテストした時に、結果を見て「できそうだ」と思った。その直感が重要だ。直観は小さな成功の積み重ねで得ることができる。

挑戦から25年たち、やっと大規模プラントを作ることになった。私は明日、満69歳になる。もうお金も名誉もいらない歳になった。願わくば、石英ガラスの原料がこの材料に代わり、珪肺患者を撲滅することができたら、私は引退しよう。と思う。

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