ミラン クンデラ氏死去

2〜3分

 チェコ出身の作家で、「存在の耐えられない軽さ」を書いたミラン・クンデラ氏が11日、死去した。94歳。この作品は映画にもなった。西側と東側が今のように対立した時代だった。主人公の優秀な外科医トマーシュはセックスホリック。大江健三郎のような難解な小説だが、論評の中に「この人生は一回きりで、その時々に決断したことが良かったかどうかを確かめるすべはない」というのがあった。人は輪廻転生のごとく、何回も生まれてきて死んでいくとしても、前の人生を知らなければ、同じことを繰り返しているに過ぎない。それほど軽く、意味のないものかもしれない。
この世界は苦しみの連続で、苦しみからは抜け出せない。そこで生きる者は哲学などを持ち出し、苦しみを正当化することで悩まなくていいような人生を送っている。クンデラ氏はニーチェと違い、こういう人生はどうしようもないことだと肯定する。もともと人の人生は間違いを繰り返すものだ。時代にほんろうされた彼の絶望的なメッセージだ。この世界が仮想世界であり、何回も死んでは再スタートするロールプレイングゲームなら、前回に起きた出来事を修正して前に進めるだろう。しかし、クンデラ氏は前にやったゲームのことを忘れてまたゲームをするようなものだと言っているのだ。
そうは思いたくないが。

WordPress.com で次のようなサイトをデザイン
始めてみよう