「井の中の蛙大海を知らず」
中国戦国時代の荘子が言った言葉だと言われる。
「井蛙不可以語於海者、拘於虚也。」
蛙に海の話をしても通じないのは、蛙が井戸という狭い所にとらわれているからという意味。 類語には「世間知らず」「ガラパコス」がある。
私は、若いとき製造会社の技術を担当してきた。大会社の歯車であることを嫌い、楠和クオルトという商社の子会社に転職した。商社にとって海外出張のハードルは低く、海外出張の機会に恵まれた。私の転機になった。日本から海外に出ることによって私の人生は開かれたと言っても過言ではない。技術者が世界を知るということの重要性を会社は理解していない。今でも多くの日本の製造会社は海外出張に行くのに稟議書を書かなくてはならない。私の場合は、自分の会社だから自分で決めればいい。いつでも行ける。でも格安航空券を自分で予約し、格安ホテルを取る。
今回もヨーロッパ行きを即断した。夜中出発でイタリアでトランジットして夕方、目的地に着く。次の日に打ち合わせをしてその次の日に帰る。朝上海に着き、そのまま帰る。高齢者にとってきついフライトだが、もう慣れた。
二回、出張先で死にかけたことがあった。血栓が詰まったようで、ホテルの部屋で倒れた。もう死ぬんだと思ったが、意外と安らかだった。その2分後くらいに苦しさが消えて普通になった。きっと血圧が上がり血栓が取れたのだろう。その経験が死への恐怖を無くしてくれた。いつどこで死んでもいいと思うようになった。