京都市左京区にある、小さなクリニック。
ここで診察にあたる91歳の心療内科医の言葉が、いま話題になっています。
「年をとって丸くなった」と言われる人がいるかと思えば、「年をとって頑固になった」と言われる人がいます。
年をとって丸くなったと言われる人は、人生の中で、たくさんの経験を重ね、試練を乗り越えてきた人。何が起きても、何を言われても、突発的に反応せずに、落ち着いて「そういうこともある」とおおらかにとらえられるということでしょう。
自分の失敗や、誰かの失敗。悪いことをいつまでも引きずらないのはもちろんですが、過去のよかったことすらも、ほどよく忘れるくらいのほうが、人生を楽しく歩ける気がしています。
過去のすごい功績、実績、経験。もちろんそれは時間をかけて自分が積み上げ、磨き上げた宝であることは確かです。でも、それをいつまでも勲章のように胸元に身につけておくよりも、「そんなこともありましたね」と、ときどき、言われて思い出すくらいがちょうどいい気がします。
自分の意識は、過去ではなくいつでも「今」に向けていたいと思うのです。
私も歳を取った。昔のようながむしゃらな人生ではない。歳は欲を削ぎ落すものだ。それが人生のゆとりのようなものではないかと思う。しかし、私の周りの人は働き盛りでギラギラしている。これが社会を引っ張る原動力なのだろうが、失敗もよくしているように思う。
どっちがいいかなどということではなく、若いときは若いらしくがむしゃらに、歳を取ったら落ち着いてゆっくり生きることがいい。孔子いわく、60にして耳順がう。60歳になって人の言うことに耳を傾けるようになる。そして孔子でさえも、我われ七十にして己の欲するところに従うてその矩を踰えず。70歳になれば自分が思うことをしても道徳を外れることはない。そんな人生が理想である。