2020年に興味深い論文が公表された。日本人17万人のゲノム解析から、過去1万~2万年のあいだに変異が起きた遺伝子のうち、29個が世代をへるごとにそれぞれ一定の方向に体の特性を変化させてきたことがわかった。 このなかでもっとも強い動きが「酒に弱くなる方向への進化」だという。つまり、日本人は酒に弱いほうが生存に有利だったということだ。
ダーウィンは「種の起源」で生物に起こる突然変異を自然環境が選別し、生存に有利な方向へと進化が進むと言った。中南米の島では、前足が長く、後ろ足が短いイモリがいる。ここでは巨大台風が頻繁に来襲し、この形状のイモリは木にしがみつきやすく生き残りやすいからだ。普通の形状のイモリは台風によって海に飛ばされ、死んでいったのかもしれない。こんなことを見るとダーウィンの言っていることは正しいと思われる。
今の日本を見ると、高齢化社会で少子化社会である。とある論文には、突然変異頻度は、様々な生活スタイルに左右される。例えば成熟までの時間がかかるほど、変位数は高まるし、子供の数が多いほど、変異数が低くなる。また家畜化されると一般的に一年間に生殖細胞で起こる変異頻度が高まると書いてある。これからすると、日本では突然変異が多くなっているといえる。この突然変異を自然が選別しない限り、進化は起こらない。日本では突然変異が多くなっているにもかかわらず、社会がそれを選択していないと考えると、日本が進化していない理由が明快になる。多くの人が変革が必要だというが、本心は現状維持を選択している。
それは「酒を飲めない人」が多くなっているにもかかわらず、テレビでは酒のコマーシャルを流し、飲食店では必ず酒を出し、だれでもコンビニで酒を買えることは変わっていない。したがって酒飲みは絶滅しない。近年、才能がある若い人が多くなっていると思う。スポーツ、芸術分野では若くして有名な人も多い。しかし、会社や国家では若いリーダーは生まれていない。それは、社会の問題だ。国家予算が破綻しているから変えなければならないという人は多いが、まあ誰がやっても同じだろうということになる。「生きるのは大変だが死ぬことはない」では進化は起きない。