最近、黄から頻繁に天然石英についての質問が来る。我々はインクルージョン検査をベンジルアルコールで行っている。これは私が開発した方法で、石英の屈折率に合う、合わないということを利用しているが、雲母と石英の見分けは難しいので、原石を見た時に、光沢の有無により雲母の判断をする。半導体用天然石英としてはグラニュラーを使うのが一般的なのでこの方法を使えるのである。黄は大きな埋蔵量を持ついい原石を手に入れたのだが、仮焼した後にインクルージョンが増えたという。この現象の原石は10年前に入手して検討したことがあった。結論は原石の溶解する水分が仮焼によってインクルージョンになるというものである。この仮焼温度は500℃以上であり、450℃以下では起こらない。
我々がインドで採掘しているのはペグマタイト石英である。地球の地下深くにあるマグマが貫入することにより、火成岩体が変性を起こす。このとき、マグマからは熱だけでなく水分も運ばれる。そこからペグマタイトができる過程の理論は現在、「メルト」の「非平衡論」が主流であるが、それはアラスカイトを説明するには都合がよいが、インドのペグマタイトは「水流体論」のほうが適していると思う。Jahnsは静的な水流体が溶質を輸送するための駆動力が、温度勾配ではなく、水流体の泡の浮かび上がりであると主張した。アルカリの再分配により、ペグマタイトの岩体の上下両側の淵に沿って、下部にはNaに富んだ斜長石、上部にはKに富むアルカリ長石ができ、中心には石英がレンズ状にできる。このペグマタイトはプレートが動いた時の隆起や沈降により、地表に現れることがあった。それがインドの石英鉱脈(Vein)だと私は考えている。石英中のインクルージョンは、熱水中に溶解したシリカゲルが石英として析出するときに、内包した固体、液体、気体である。しかし、気体は石英に溶解し、過飽和に達した時は気泡として存在するが、過飽和にならなかったときは、溶解したままになる。これが500℃以上の熱処理によって気泡になる。この溶解ガスを取り除こうと、マイクロウェーブなどを利用した熱処理を行ったが、効果はなかった。おそらく水素ガス処理などは効果があるだろうが、黄にすれば、そんなことより別な原石を探したほうがいいと思うにきまっている。彼には壮大な地球の歴史などに興味はないのだから。