東芝は日本産業パートナーズによる買収を受け入れた。2014年に売上6兆円だった東芝の2021年の売り上げは3兆円と半分に。医療機器事業や半導体事業を売却した東芝はどうやって復活するのだろうか?
かつて副社長だった川西氏。「私が半導体事業部長だったとき、先日なくなった渡里杉一郎社長には『本社にはお金は落ちていない。お金が欲しければ外へ行け』といわれたものです。渡里さん自身は半導体の素人だったけど、私の半導体のレクを聞いて、すぐさまカシオ社長を訪問して、堂々たるプレゼンをやっていたものです。つまり、トップがどんどん外へ出て営業をしていたのです。しかし、いつしか、東芝本社ビルにお金が落ちていると思い出した社長が出てきたのではないでしょうか。部下をぎゅうぎゅうと締め上げて、朝から晩まで利益を出せと詰め寄ったところで、東芝ビルにお金は落ちていないんです。「予算は社長との約束である」などと言って、会議ばかりやって部下を締め上げていれば、みんな無理をしてしまうでしょう。そして、数字をごまかしたら覚えがめでたくなるなら、誰も顧客のところに行かなくなってしまうのではないですか。いつの間にか、予算主義になって内向きな姿勢の会社になってしまった。これが経営危機に至った最大の原因ではないでしょうか」
東芝は田中製造所として田中久重によって創業された。日本のエジソンと呼ばれた彼は「知識は失敗より学ぶ。事を成就するには、志があり、忍耐があり、勇気があり、失敗があり、その後に成就がある」と言っている。ある時代、日本の経営者はGEのジャック・ウェルチを師と仰いだ。彼は積極的なM&Aとリストラで収益性を高めたが、そのGEですらジャック・ウェルチの負の遺産に苦しんでいる。東芝をダメにしたのは西室泰三氏である。彼は創業者の思想を無視し、私利私欲に走った。大企業の終焉はこういったトップから始まる。