輪廻転生

3〜5分

 スウェーデン人の哲学者であり、オックスフォード大学の教授であるニック・ボストロム(1973~)は、「シミュレーション仮説」を提唱した。この仮説は、私たちが生きている世界というものが、知的生命体が行っているコンピューター・シミュレーションである可能性を指摘したものである。
「世界五分前仮説」というものもある。これはイギリスの哲学者であるバートランド・ラッセル(1872~1970)が唱えた思考実験で、世界は5分前に始まった、という仮説である。
 新しく生まれた生命の意識と、朝起きた意識との違いは、脳に昨日の記憶があるかないか、ということだけだ。もし、そうだとすれば、ヒトは一生のあいだに何度も何度も(80歳以上生きるとすれば約3万回も)生と死を繰り返していることになる。
そう考えると、ボストロムのシミュレーション仮説は、ますます強力になっていく。現実の住民よりシミュレーション上の住民の方が、数が多いというだけでなく、生きている時間も短くて済むからだ。
 なぜこんな話をするのかと言えば、昨日の夜、黄と仕事の話をしていたのだが、黄が突然、「死んだらまた生き返ると思うか?俺はそう思わないが」といってきた。私は「死んだもまた別な人として生まれ変わるよ。チベットの輪廻というやつだ」と返した。黄は「前世の記憶がないぞ」。「前世の記憶を持って生まれた人もいる」。最後に私が「この世界は仮想世界で、ゲームのようだ」と言ったところで、彼は黙り込んでチャットは終了した。
中国人もそういうことを考えるのかと思った。中国ではそういう宗教じみた勉強はない。昔の中国があれほどの宗教、哲学者を出したのに、今はそこから学ぶことはない。しかし、中国人が裕福になればなるほど、生きる意味と死ぬことの意味に関心が出てくる。いい傾向ではあるのだが。

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