「日本人の勤労者のうち「社外学習を行っていない人の割合」は46.3%で、世界的に見てもダントツで高い。 リスキリングへの機運の高まりは、そもそも学びが欠如している危機感の裏返しでもあります。残念ながら日本はいつの間にか「学ばない国」になってしまっています。
「学ばない」ことがビジネスパーソンの習慣として定着した結果、個人の現場のスキルだけではなく、企業全体や社会全体の経営力やリーダーシップが弱まっていると言わざるを得ません。人材教育への投資や人件費が削減され、一方では給料が上がらず自分への教育にかけるお金や関心がない、その結果イノベーションは生まれず、企業は収益性が低下する中でさらに人材に対する支出を抑える……こうした悪循環によって、勝ち組と負け組が生まれる構造ができあがったわけです。
同じような傾向がキャリアの終わりに関する意識にも表れています。「自分のキャリアはもうこれで終わりだ」と考える人の割合と、「自分のキャリアはまだまだ伸びる」と思う人の割合は45.5歳で反転します。
出世したくない上にキャリアも伸びないと思っている人たちが居座り、成長したいという意欲のある人を抑えつけてしまっている――ダイナミックな組織になるのを妨げる重しである、いわゆる「粘土層」を形成し組織の沈滞化を招いているのが現状なのです。
日本は依然として世界第3位の経済大国であり、やりたいことができる環境がある程度整っています。その一方で、あえて何かにチャレンジするよりは、現状の範囲内でやれる範囲のことをやるほうが安心だとも考えられます。
リスクを取って何かを変革したい、起業したい、新しいことに挑戦したい……というのは「ギラギラ」したことで、安全運転して、怒られないように、失敗しないように、ネガティブなものを寄せ付けないようにすることをよしとする風潮もあるでしょう。
スタートアップやベンチャー企業に就職して腕試しをしたいと考える学生も増えています。若いうちからスキルを更新し続けていこうという意識が高まっており、新しいスキルを身につけ続ければキャリアの可能性が広がると考えられているのです。逆にいえば、1つの会社にとどまり続けるリスクが意識されているということです。
今はVUCAの時代だと言われています。社会はVolatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)に満ちており、今後を予測することは極めて難しいという時代認識です。その中で諦めるのでもなく、組織にしがみつくのでもなく、前を向いていきましょう。またあれもこれもとじたばたしてもしょうがないので、そこは戦略的に学びましょう。
リスキリングのために必要なスキル、すなわちシナリオ、スピード、サイエンス、セキュリティの「4つのS」を軸にリスキリングに向き合い、現状に安住せずにそこから飛び出し、未来を志向して価値を発揮し続ける存在でありたいものです。
それが個人の人生を永続的に豊かにし、企業や社会経済の活性化につながっていくのです」
私の若いときはよく「アメリカンドリーム」という言葉を耳にした。この「アメリカンドリーム」は均等に与えられる機会を活かし、勤勉と努力によって勝ち取ることの出来るものとされる。この日本においても、成功の機会は誰でもが手にすることができる。でも成功は一握りの人しか手に入れられないものだ。しかし今の日本は、成功の機会が閉ざされているのではないだろうか?成功したいという人が多くいて、成功者も多く出る。今の企業の中間管理職は、このまま会社に居続けることが良いというような考えをしている。それが若い人の妨げになっているのではないだろうか?自分ができないのであれば、若い人にやってもらおうとしなければいけない。若い人にもっと挑戦の機会を与え、その中から成功者が出ればいいのだ。私は18年前に中国にきて、多くの中国人の部下を持ち、教育してきた。その連中が今、中国で成功していると聞くと嬉しい。「渡部さんは中国の石英業界に多く貢献した」とそういう連中から言われた時は何とも言えない感激なのだ。日本ではよく「あなたは後継者を作らない」と言われたものだ。日本だって成功する機会はあるはずなのに、挑戦する人がいない。そういう環境で私の後継者などできるはずもないのだ。リスキリングもいいが、最も中間管理者がやるべきことは、若い人に挑戦させることだ。その失敗の尻ぬぐいは中間管理者がやればいい。中間管理者の度量が試されているのである。