さて石英の話をしよう
合成ルツボを作ったときに、引上げ時に液面振動が起きて大問題となった。私はその液面振動が合成石英ガラスの不規則構造のせいだと結論付けた。不規則なシリカ構造はシリコンと反応しやすく、反応して多くの酸素を発生する。その酸素ガスが液面を揺らす。しかし、私にはずっと気にかかることがあった。扶桑化学と共同でTMOSから乳化反応で球状のシリカを作っているとき、それを石英ルツボにしてシリコンを引き上げたことがあり、その時には液面振動が起こらなかったのだ。もし、反応がシリカの不規則性で変わるなら液面振動が起こるはずである。実際水ガラス法で作った合成シリカでは液面振動が起きていた。扶桑との共同開発が終わると忘れてしまったが、今でも合成石英ガラスの不規則構造が液面振動の原因だったか疑問を持っている。
実は扶桑化学で作ったときに、乳化反応の反応器のライニングが剥げていたのだ。つまり不純物が球状シリカにはあった。この不純物が液面振動を止めたのではなかろうか?
この疑問に決着をつけるべく、純度を変えた合成シリカ粉を用意している。もちろんOHフリーで作るのだが、どの元素が液面振動を止めるのかを検証できる。
昔、私は石英ガラスの構造についてレーザーラマン分光を使って研究したことがある。多員環の比率を求めるのだが、それはOH含有量に関係していたが、OH含有量が一定の時はそれほど違いはなかった。液面振動は高温使用時に起きる。常温で測定してもわかるはずはない。不純物が高温で結晶化を起こすと考えた方が正論ではないだろうか?今回、それが証明されるかもしれない。
石英は単純な構造であるが、まだまだ不明なことが多い。無機質でありながら姿を変えている。増殖機能のない生物のようだ。