私はピザ屋をやっているサイラスがずっと気にかかっていた。ピザ屋は忙しくて儲かっている。なのに浮かない顔だ。中国人なら儲かるということだけで満足だろうが、イギリス人にとって労働は苦役なのかもしれない。労働は生きるために必要だが、長時間の労働は自由を奪ってしまう。日本人なら労働を通じて自己実現をするなどと考えるが、そういうモチベーションは教育によって教え込まれたものだ。
今私には十分な時間がある。何をしようと考えようと自由だ。サイラスはそんな人生を生きたいと、現実との差に疲れているのかもしれない。人を決定するのは哲学だ。そして自由こそが哲学を生む。しかし現実には何らかの奴隷になっている。お金、家族友人、様々な欲望。そういうものから逃れられないにしても距離を置くことは良き生き方になる。