今年も桜が咲く季節がやってきた

3〜4分

 博多では桜が咲いたという。早いもので日本に帰ってきてから一年が過ぎた。ジャネーの法則を知っているだろうか? ジャネーの法則とは「生物の生涯の、ある特定時期における時間の心理的長さは、その生物の年齢の逆数に比例する」というものだ。犬の寿命が15年とし、人の寿命100年とすると、犬の一年は人の100/15倍になる。それと同じように私には若い人の何倍も時間が早く過ぎていく。

 私は60歳を過ぎた時に「人生のドップラー効果」ということを考えたことがある。ドップラー効果とは「発生源に近付く場合には、波の振動が詰められて周波数が高くなり、逆に遠ざかる場合は振動が伸ばされて低くなる」というものである。音の周波数だけでなく時間間隔も変化する。近づく場合は時間間隔が短くなり、遠ざかる場合は時間間隔が長くなる。すなわち、人生の終点に近づけば近づくほど速くなるのだ。

 時間は我々の内部の一つの感覚でしか過ぎない。時間は普遍的な法則ではない。しかし生物が生まれて死んでいくようになって我々は時間という感覚を作ることで、この世界に生きる価値を見出すようになった。時間はエントロピーが増える方向に進む。過去とはエントロピーの痕跡だという。エントロピーの増大はランダム化の方向だ、しかし、我々はカオスから秩序を作ろうとしてきた。これはエントロピー増大の法則に反している。

 桜の花は規則正しく花弁を開花させ、やがては一枚づつ地表に落ちてやがて腐って土に還る。それがエントロピー増大の方向だ。人は時間という概念を作ることによってその法則にあらがって生きている。人生は一場春夢である。

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