私が合成シリカ粉事業から合成インゴット事業にシフトした理由について述べよう。まず中国国内に合成シリカ粉の需要がないからである。その理由はまず半導体用の需要がない、合成石英ルツボなどを作っているところもなく、ましてや合成石英を使う半導体のレベルになっていない。あるのは光学用の需要だけだ。しかし合成シリカ粉から無気泡の合成石英ガラスを作れるメーカーがなかった。すなわち中国では合成シリカ粉は売れないのだ。では海外はどうか?海外で合成シリカ粉を使っているのは日本のルツボメーカーである。であるというより、だけである。日本のルツボメーカーは、MKCと同じ品質で、極端に安いものを要求する。それに嫌気がさした。そこで、中国の光学用に適合する溶融法を検討したわけだ。溶融インゴットをやれば合成シリカの改善にもつながる。そして市場もわかる。したがって、我々の戦略変更は「must」であった。
プラズマ溶融は無気泡の合成インゴットを作るのに向いていた。紫外領域の透過率は問題ない。次は赤外領域もということで、合成シリカ粉も低OHにした。無気泡の石英ガラスの用途は韓国にもあった。我々は中国と韓国マーケットに入った。マーケットに入れば市場の要求もわかる。我々は天然石英粉より安い合成シリカの開発に成功した。原料というのはそれだけをやっていてもだめだ。その先のことをやってフィードバックできるものがある。狭い範囲だけやっていても悩むだけだ。
技術者は広範囲に、そして深い技術をやるべきだ。私はほぼすべての石英の技術をやってきた。そういう人はもはやいないのではないか。たいていの技術者は得意な分野に閉じこもり、いろんなことを知ろうとしないのではないか。なぜもっと貪欲に技術を知ろうとしないのか? 心地よいところを捨てて新しいことにチャレンジしてもらいたいと思うのだが。