「巨大企業が恐れた男」

5〜7分

 環境汚染問題をめぐって1人の弁護士が十数年にもわたり巨大企業との闘いを繰り広げた実話を、環境保護の活動家という一面も持つマーク・ラファロの主演・プロデュース、「キャロル」のトッド・ヘインズ監督のメガホンで映画化。1998年、オハイオ州の名門法律事務所で働く企業弁護士ロブ・ビロットが受けた思いがけない調査依頼。それはウェストバージニア州の農場が、大手化学メーカー・デュポン社の工場からの廃棄物によって土地が汚され、190頭もの牛が病死したというものだった。ロブの調査により、デュポン社が発ガン性のある有害物質の危険性を40年間も隠蔽し、その物質を大気中や土壌に垂れ流し続けた疑いが判明する。ロブは7万人の住民を原告団とする一大集団訴訟に踏み切るが、巨大企業を相手にする法廷闘争は、真実を追い求めるロブを窮地に陥れていく。ロブの妻役をアン・ハサウェイが演じるほか、ティム・ロビンス、ビル・プルマンらが顔をそろえる。

 この映画は実話をもとにしている。デュポンのテフロン(PFOA・PFOS)の有害性は1961年にはデュポン内部で分かっていた。デュポンは人体実験までしていたのだ。工場で働く7人の妊婦のうち二人に奇形児が生まれたことも隠ぺいした。工場排水を川に流し牛280頭が死んだ。裁判が起きても非を認めず生産し続けた。日本、中国に至っては規制されたのは去年のことだ。デュポンは規模で世界第4位・アメリカで第2位。石油会社を除けば時価総額ベースでは世界で四番目に大きい化学会社である。超一流企業といっていいこの会社は実は武器商人といわれた過去を持つ。1799年に一家でアメリカに移住したエルテールは、アントワーヌ・ラヴォアジエに師事し化学知識があり、黒色火薬工場としてデュポン社を設立した。当時、アメリカで生産されていた黒色火薬は、極めて粗悪であったため、ビジネスは成功した。徹底的な品質管理と安全対策、そして高品質によりアメリカ合衆国連邦政府の信頼を勝ち取り、南北戦争で巨利を得た。その後は化学会社として変貌を遂げていく。しかし、利益重視の姿勢は多大な犠牲を生んだ。

 テフロンコーティングは長い間使用され、体内にその成分が蓄積されている。この物質は世界一安定な物質だ、それがガンを引き起こしている。このような悪徳企業が今でも存続していることに憤慨する。石油化学は人類に多くの貢献をしたが、多くの問題も引き起こした。くしくも今、社会は「脱プラスティック」に移行しようとしている。化学会社は総力を挙げ、人や環境にやさしい材料開発に注力すべきである。

 

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