石英原料

6〜9分

 最近、石英原料に対する依頼が多い。理由を調べるとIOTAーCGがKg当たり10ドルするという。昔は3.5ドルくらいだったから3倍くらいになっているらしい。石英ガラスのコストの4-5割は原料費だから大変なことになっているようだ。

 私と石英原料との付き合いはもう40年位前にさかのぼる。一番最初は低α線フィラー材の開発の時だ。低α線フィラー材はUやThの少ないシリカ微粉のIC封止用充填剤だ。これは世界で初めて私が考案したものだ。この原料を探したときにインドグズール地方の石が極めて低いとこを発見し、これを使用したのだ。次は石英ルツボの原料であった。その当時、インドのセイラム地方のボロンの低い原石を使用していたのだが、それが入ってこなくなったのだ。そこで溶融の時に外側にアルミ溶融の粉を集めて使おうということになった。最初は私は関与していなかったが、その残粉には大量のカーボンがモールドから入っていて、その除去ができなかった。どうしてもできないということで私のほうに回ってきたのだ。それを始めたのが冬だった。現場にある試験室には石油ストーブがあった。そこに座ってどうしようかなと考えているとき、残粉を入れた瓶に水と石油を入れてみた。別に何かしようとしたわけではない。するとカーボンが水と灯油との界面に集まて来たのだ。これを見て浮遊選鉱をしてみようと思った。隣の課にある使っていないバッチ式浮遊選鉱機を借りて試験してみることにした。この浮遊選鉱機は粉を1トン使用する。自分でホークリフトを運転して1トンの残粉を入れた。水を入れ灯油を入れて攪拌すると水と油の界面に真っ黒のカーボンの層ができた。これを掻き出し、さらに灯油を除くための試薬を入れて処理したら使用できたのである。その後も石英原料についてはいろいろやったが、本格的にやったのは中国のAQMにいた時だ。AQMでは石英ルツボを作っていた、そのコストの4割程度を石英原料が占めていた。そこで原料を作ろうということで世界中で原石を探し工場を作った。しかし工場が寧夏にあり遠いことから疎遠になった。その後に余姚で原料工場を作った。その時にインドで見つけた原石があった。非常に大きな埋蔵量で、純度も粘度もIOTA並みだった。噂は一瞬にして広がった。中国の別な原料会社にも売ろうということになって、中国のいろんな会社に売り込んだが、インドの鉱区を案内するときに中国人はGPSを持っていくのだ。そして太平洋石英や大きな会社は鉱区のオーナーと独占契約をした。私は人がいい。と思った。太平洋石英は何回も私に来てほしいといったが私は無視した。とんでもない悪い会社だ。

 いろんなところで石英原料の会社を作ったが、石英粉は珪肺を誘発する。珪肺の最後は肺がんだ。また高濃度のフッ酸を大量に使う。こういう産業に加担することは犯罪だと突然思った。東芝セラミックスでは何人もの珪肺患者がいた。最後は肺がんになって死んだ。60歳過ぎて後悔した。そこで20年以上前にやった合成シリカ粉をやることにした。このガラス粉は珪肺を起こさない。これをライフワークにすることに決めた。今は余姚で量産している。中国で量産することは大変だった。でも私はこの技術を広げていこうと思う。

 天然石英粉と同じコストくらいでできるようになった。それは天然石英粉が値上がっているからだ。おりしも世界は持続可能な世界を目指している。機は熟している。

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