中国 マグネシウム生産停止

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 中国のマグネシウム生産が止まっている。中国政府が石炭電力の過剰消費を抑制するために主産地の陝西省でマグネシウムの生産停止命令を発令したため、供給不安となっている。北京オリンピックまで生産停止となる可能性もあり、国内でマグネシウムを使用するマグネシウムメーカーやアルミ圧延メーカーの生産に影響が出る可能性もある。  非鉄専門商社タックトレーディングの上島隆社長は「中国産マグネシウムの相場は全く存在していない」と22日に取引先に報告した。背景にあるのは、中国中央政府が20日に通達した生産停止命令。陝西省のほぼ100%のマグネシウム生産地域で当分の間、石炭電力の過剰消費を抑えるために全面的に生産を停止するとした。上島社長によると「この命令が撤回されない限り、中国産マグネシウムは市場に出てこなくなる」という。  マグネシウムの世界生産量は年間100万トン。このうち中国が80万トンを生産し、中でも陝西省は中国内でのシェアが8~9割に上る一大生産地だ。この陝西省でマグネシウム生産用の電力供給がストップしたため、「仮に冬季オリンピックまでの5カ月間生産停止となれば、年30万トンの供給がなくなることになる」(上島社長)と指摘する。  中国のマグネシウム価格はコロナ禍による低迷から回復し、特に8月以降は急激に上伸。7月末に3150~3200ドルだった相場は8月後半には4100ドルまで上昇していた。この値動きについて上島社長は「当初は仕手筋が絡んだ一時的な動きとみていた。しかしこの状況を鑑みると、生産停止の情報を事前に感知していたものによる買い占めだった可能性がある」と推測した。相場は立っていないものの、先週時点では仕手筋によって7500~8500ドルでの売買もあったもようだ。  なお電力制限は雲南省でも実施されており、アルミやシリコンメーカーは減産を余儀なくされている。

 陝西省でのマグネシウムの生産はドロマイトの熱還元法により行われているが、この方法では電力の消費が大きい。そしてこの電力を安い石炭発電に頼っている。現在、青海省では電解法によるマグネシウム生産計画が進んでおり、2~3年で生産・販売が開始する見込みである。現状1期工事が進行中で、年産能力は150 千t、水力発電及び太陽光発電により電力を賄うという。電解法は塩化マグネシウムを原料にしている。

 マグネシウムはほとんどの産業に使用されている。そのため豪、ノルウェイー、米国などでは新規に工場建設を計画しているが、中国のコストに追いつくことは不可能と思われる。

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