2019年12月に出願した特許が公開になった。特開2021-107315は合成石英ルツボに関するものである。半導体用の大型石英ルツボは、高温で使用されるため変形しやすい。
通常、半導体の大型石英ルツボは、最外層にアルミナを数十ppm混合した低アルカリ石英粉を、そして低アルカリの石英粉、内層に合成シリカ粉が使用されている。アルミナドープした層によって変形しにくいようにしているわけだが、石英ルツボはMEMCが開発したバリウムコーティング技術があり、結晶化させることによって変形を抑制する技術が存在する。この特許は既に切れている。合成ルツボの外側に炭酸バリウム懸濁液や水酸化バリウム水溶液を塗布して焼成すると、内面の合成層が使用中に失透してしまう。これは天然石英ルツボにはなかった現象であった。
2019年の初め、天然石英ルツボの内面に水酸化バリウムをスプレーで塗布し、600度付近の温度で焼成して製造していた。中国の石英ルツボはMEMCの特許を避けるためというよりは、水酸化バリウムを内表面につけるため、200-300℃で加熱して水酸化バリウムを塗布していた。そのころモメンティブは内表面を荒してから常温で水酸化バリウムを噴霧してつけていた。焼成をすると、結晶層が薄くなり厚くなることはない。結晶層が厚くなると剥離などの問題が生じていた。
この技術を使って合成石英ルツボの外側に炭酸バリウムを塗布して焼成すると、合成石英の内表面が使用中に結晶化を起こすのだ。水酸化バリウムのほうが結晶化が激しかった。この理由は、焼成中にガスが発生して内面の合成石英と反応してしまうからだ。合成石英は非常に反応しやすい。そこでコーティング後の焼成時にルツボの内側の圧力を大きくし、外側は強力に排気した。さらに焼成後に内面だけフッ酸でエッチングする。これによって内面合成層の使用時に結晶化することはなくなった。
実はこの技術は、外層に安い合成シリカ、内層に超高純度の合成シリカを使用したいという私の思いがある。珪肺を引き起こす天然石英粉を使用したくないのだ。
余談ではあるが、中国の太陽電池の引き上げ用ルツボはもはや内面にバリウムをコーティングしていない。これもMEMCの特許であったが、バリウムを使用中に添加するという技術を使用している。これによって、石英ルツボの内容面を観察し、バリウムの添加量を調整している。いまや石英ルツボは500時間以上の使用が可能となった。つまり、引き上げ機一機で月に1個しか使用しなくなったのである。
さて、私は特許出願を再開している。すでに4件の出願をしており、今後も出願していくつもりである。しかし、最近は特許を書くのに時間がかかる。最近出願した特許は1か月を要した。脳も老化しているのだろうか?