私のライフワークは、「天然石英を合成に」である。その一歩を踏み出した。廃棄石英ガラスから合成シリカ粉を試作できたのである。そして溶融後の石英ガラスは合成石英ガラスと遜色ない物であった。これで石英ガラス業界も循環可能なビジネスとなる。しかし、私にとって最も重要なことは珪肺患者をなくすことだ。
水ガラスから合成シリカ粉を作ることはすでにできていた。コストも中国で作ればkg当たり500円を切る。しかし水ガラスもまた天然石英から作る。珪肺患者をなくすというテーマから外れている。そこで廃棄される石英ガラスから作れば製造プロセスに有害なものは全くなくなる。
天然石英粉は地球に穴をあけ掘り出す。インドやアメリカの鉱区は削り取られた山肌が露出している。それを粉砕して処理するのだが、粉砕の時に出る粉塵が珪肺を引き起こす。珪肺患者は最後は肺がんで死ぬ。ガラスは珪肺にならない。そこで廃棄された石英ガラスを水ガラスにして合成シリカ粉を作ればこういうことは起きない。
これまで問題だったのは金属不純物である。特に鉄が残りやすかった。それは廃棄石英ガラスを粉砕する時と、水ガラスにするときに鉄がコンタミで多くなるからだ。鉄を除去することは今までもできたが、コストが高くなっていた。今回これを簡単な方法で除去することができたのだ。コストは300円程度。年産1万トン作ることも可能だ。
これは石英業界にとっての革命だ。と思っているのは私だけだろうか? これを中国でやってよいものかと思う。なぜ日本で量産化できないのだろう。ライフワークはやる人にとっての制約はない。どこでやってもいいのだ。達成するためには最も良い環境を選ばなくてはならない。
日本人は今までアメリカやヨーロッパの技術を導入して発展させてきた。それが中国の台頭によって今は通用しなくなった。日本の将来はどうなるのだろうという思いもある。石英はヨーロッパとアメリカで始まった。それを日本が真似して繁栄した時代もあったが、今は中国の勢いが増している。この流れを変えることができるのはこの技術だ。これは「ゲームチャンジャ―」だ。