医者である小澤 竹俊氏の著書である。
「ある50代の男性。彼は高校を卒業してすぐ銀行に入社し、一生懸命に働きました。「銀行の利益を最優先し、お金を返せそうにない人には融資をしない」など、かなり厳しい仕事ぶりではありましたが、仕事の成績は常に優秀で、大学卒の同期よりも早く支店長になり、収入も増えたそうです。ところが、50歳をすぎたある日、検診で肺がんが見つかりました。治療を開始したものの、病気の勢いは強く、彼は悩んだ末、ホスピス病棟で生活をすることを決意。命の終わりが迫る中、彼は初めてこれまでの人生をゆっくりと振り返り、「どんなに地位や名誉、お金を手に入れても、死んでしまったらまったく意味がない」と気づいたのです。 元気だったころ、その患者さんは、家族のことも顧みず仕事に打ち込み、「仕事ができない人間は、会社にとっていらない存在だ」と考えていたそうです」
多くの人にとってこの社会は競争の社会だと思っている。学生時代のテスト、アスリートにとっての大会、社会人にとっての出世。それが優越感、劣等感、嫉妬を生んでいる源だ。私が技術者で良かったと思うのは、他者との競争ではなく自分の中の本質的な問題と向きあうことができたからだ。この地球上でもっとも重要なことは本質を探り、見つけることだ。人が作り上げたシステムは偽りの世界なのだ。その中で一喜一憂をしているのは時間の無駄だ。
コロナが蔓延している今、死は身近になったかもしれないが、全く意を返さない連中もいる。路上で酒を飲み、自分は絶対かからないと思っている人たちは、ただこの社会に流されて一生を終えるだろう。死を考えることは生を考えることでもある。緊急事態宣言はちょうどいい死を考える機会でもある。