明日PCR検査を受けて問題なければ、アパートに帰る。またアパートで一週間、そしてまたPCR検査で終わり。一か月の隔離なんて、日本を出る時には聞いていないことだった。二週間くらいならいいかと、食べ物や酒を持ってきた。二週間で食べきり、ここに来る前に駅で食べ物と酒を買ったのだが、三日でなくなった。もう酒を飲んでいない日が四日になる。こんなに飲んでいないのは何年ぶりだろう。もしかして二度目のアキレス腱を切った35歳くらいの時だろうか?そうだとすれば30年ぶりである。
酒というのは諸刃の剣だ。酒で体を壊すこともあるし、人間関係を壊すこともある。でもなぜ酒を飲むのだろう。私が酒を飲んだのは中学生のころだったか、いや、小学生の時に祖父が作った自家製の葡萄酒を飲んでいた。中学生の時はポートワインだった。高校の時は下宿のおじさんがくれたウィスキーを飲んでいた。大学に入ってからだ、大量に飲むようになったのは。でももっと飲むようになったのは会社に入ってからだ。その会社では5時からグランドのそばで日本酒を飲み、暗くなると街に繰り出して飲んだ。二日酔いもよくあった。そういう時には電気炉のそばで寝ていた。55歳を過ぎてから二日酔いがなくなった。いくら飲んでも吐かなくなった。若いころ、007の映画でジェームズ・ボンドがウィスキーをストレートでグビッと飲んでいるのを見てあこがれた。でも今はそれができる。そんな俺が四日も飲まないとは。信じられない。手も震えない。ここを出たらウィスキーのビール割を飲もう。