血糖コントロールがうまくいかない期間が続くと、膵臓は血糖値を下げるためにインスリンを少しでも多く出そうとする。
この状態が長く続くと膵臓は疲弊し、インスリンの分泌量が低下して血糖値が下がらなくなる。高血糖がさらに高血糖を生み出す悪循環に陥り、糖尿病を悪化させることになる。
「経口薬による治療が長引くと、糖尿病を発症してからの年数も経っていることになり、その分、インスリンの分泌能力は確実に低下します。そこに、インスリンを分泌させる薬を使ってもなかなか効かないのです」
これに対して、インスリン療法はインスリンの不足分を確実に補うことができ、健康な人と同じようなインスリン分泌パターンを再現することができる。すると、血糖コントロールが改善され、膵臓は無理にインスリンの分泌量を増やすこともなくなり負担が軽減される。
2019年9月、優れた薬剤が登場した。注射薬のインスリンデグルデク/リラグルチドだ。すでに全国の医療機関で処方が可能になっている。持効型のインスリン製剤・インスリンデグルデクと、GLP-1受容体作動薬の一種・リラグルチドを一つにした配合剤である。
「持効型インスリン製剤の作用で一日を通して血糖値をコントロールし、毎食後など、血糖値が急上昇する恐れがあるタイミングでGLP-1受容体作動薬が効いて、血糖値上昇抑制に働くというしくみです」
この配合剤は、食事に関係なく、1日1回、都合のよい時間に打てばよい。発売間もないため注射の用量を医師がチェックする必要があり、2020年9月までは14日処方に限られている。
薬の進歩にはすごいものがある。これも新メカニズムが解明されたからだろう。私事だが、一月末から一か月間日本にいたのだが、夜の頻尿、尿の泡立ちがひどかった。調べると空腹血糖値およびA1cは高かった。糖尿病の領域だった。中国に帰ってきてからは、自分で食事を制限した。運動も多くなった。今は頻尿はなく、尿の泡立ちも全くない。この状態を維持すれば薬もいらない。薬は最後の手段だ。