いま主婦やOLの間で爆発的ブームの「遺伝子ダイエット」。同じダイエットをしてもやせ方に個人差があるのは、実は生まれつき持っている遺伝子のせいで、自分の遺伝子にあったダイエットをすれば確実に簡単にやせられるというものだ。
そのブームの立役者が、「遺伝子型ダイエット」(日経BP社)の著者で、心臓外科医でもあるジェネシスヘルスケア代表取締役の佐藤芹香女史。本人が自ら記す経歴によれば、現在36歳という彼女は才色兼備のキャリアウーマン。
91年米国コーネル大学政治学部および医学部を卒業。米国で肥満遺伝子のタイプに基づいた心臓病の治療・予防を研究。早稲田大学大学院アジア太平洋研究科国際経営学部修士(MBA)、同大学大学院博士後期課程(PhD)修了。2000年からUBSキャピタル(プライベートエクイティ)部門の在日責任者を経て、04年日本ウェイトマネージメント(現・ジェネシスヘルスケア)を設立。日本人特有の肥満遺伝子の研究結果に基づく健康増進・減量プログラムを、企業や個人に提供しているという。
ところが、そんなカリスマ女医にある重大な疑惑が浮上しているというのだ。「実は最近、テレビ業界では、彼女は本当に医者なのかという疑問が囁かれているのです。21歳でコーネル大の医学部と政治学部を卒業したというが、これは飛び級制度があるアメリカでもかなり不自然。日テレは彼女を昨年『世界一――』に出演させたが、今年4月、2回目の収録後に彼女の経歴詐称問題が取り沙汰され、番組から降ろしたというのです」(民放関係者)
「遺伝子から肥満を分析するのは新しい試みですが、私は14年くらい遺伝子ゲノムの臨床研究を続けていて、この5年でやっと浸透した。私は医師でありながら、遺伝学の学者なんです。現役の心臓外科医としてコーネル大の附属病院で、年間30件くらい手術しています。心臓外科の分野には肥満患者が多いので、肥満遺伝子の研究を始めたのが、遺伝子ダイエットのきっかけなんです」
「政治学に興味があったのですが、親が医者になれというので、6年間をジョイントプログラムにしたんです。アメリカはダブルメイジャーといって、例えば文系と理系を一緒に取って卒業するとか、いろんな組み合わせがあるんです。医学部卒業は人によってずれますが私は政治学部と同時に卒業しました。主人は外国人で、たまたま主人の仕事で日本に帰国して、子育てしながらのんびりしてたんだけど、遺伝子のことを教えてくれないかと声がかかって東大の非常勤講師をやっています。ただ東大はコーネルよりもレベルは低いですね(笑)」
――なぜ日本では心臓手術をしないのですか。
「外科医は車のメカニックと変わらない。要は壊れたところを直す。私は多い時は年間2、300件は手術しました。1日平均1人。休めないですし、だから40歳で引退なんです。いま会社が黒字ではないので、資金はアメリカで外科医として稼いでいます(笑)。アメリカ行って手術を何本かすると何千万円単位になりますから。特に私の場合は動脈硬化のバイパス手術が得意なんですけど、開胸しなくても外からプローブ入れて手術する技術なんですね。アメリカは医師の専門性が高いのでそれにニーズがあって、対価も高いんです。ただ日本では医師免許を持っていませんから、いまは大学で教えたり、研究したりしています」
佐藤女史はこうして華々しい活躍を饒舌に語り続け、途中、遺伝子研究でノーベル医学賞ではなく、ノーベル平和賞を狙いたいという発言まで飛び出した。
だが不自然過ぎる印象は拭えない。そこで念のためコーネル大医学部に問い合わせたところ、驚くべき答えが返ってきた。(※小誌は佐藤女史の旧姓を含めて考えられうるすべてを照会)「当該人物は我が大学の在校生でも卒業生でもない。MD(医師免許)も保有していない」(記録課メアリー・ケイト・ブレンナン氏) 彼女が非常勤講師を務めていると言った東京大学もこう返答した。「医学部と薬学部に照会をかけましたが、佐藤芹香という人間に教鞭を取らせている事実はなく、非常勤講師としても採用した実態はない」(東京大学広報課)
コーネル大医学部を卒業しているならば、ニューヨーク州の医師免許を必ず持っていなければならない。管轄のニューヨーク州保健局と同州教育局に問い合わせしたところ佐藤女史の名前はなかった。さらに同大学の外科医リスト47名の中にも彼女の名前はなかった。
――本当は、コーネル大医学部を卒業していないのではないですか。
「誰が言っているんですか。私の仕事は医療分野なので素人ではできない。外野の素人が常識的に語れるものでもない」
佐藤女史は個人情報を盾に小誌の質問をさえぎった。リストに名前がないのは、姓名が違うからだとか、スペルが間違っているからだとか、言うことがくるくる変わる。
さらに驚くべきことに「アメリカでは“本名”が一番大事な個人情報」などと主張し、それさえ明かさなかった。
――アメリカでは医学部卒業に8年かかりますが、91年卒業なら21歳ですよね。本当に卒業したんですか。
「15歳で私は大学生になった。小5と高1で飛び級しているから」
――本当に医師免許を持っているんですか。
「アメリカの医療制度をあなたたちは知らない。私は非常勤なので登録されていない。アメリカは医学部を卒業したら、全員医者になれるんです。日本のような国家試験はありません。医師として登録がなくても医師じゃないとはいえない」
当然のことながら、そんなことはない。アメリカにも医師の国家試験はある。
「マスコミが心臓外科医となぜ大きく取り上げるかわからないですが、私は心臓外科医というよりも、遺伝子の研究者なんです。心臓病の研究をしているわけじゃないですから。プライドがありますから、あなたに疑いをかけられてまで医師かどうかとか、卒業したかどうかとか、お答えしたくない。私は裕福だし、主人も資産家。強力な弁護士を立てて訴えますからね」
小誌は、コーネル大学医学部の心臓外科医の責任者、心臓外科部長のオーティス・ウェイン・アイソム医師にも佐藤女史について尋ねた。彼は事情を知るなり、こう憤慨した。
「私は1985年から21年間ずっと、コーネル大学医学部で心臓外科医として奉職してきた。しかしそんな女性の名前は聞いたこともないし、そういう女性がいたこともない!
現在私のもとに心臓外科医は数人しかいないし、日本人の、しかも女性の医師ならば過去から現在まで、絶対に忘れるはずはない。しかも彼女は年間多い時で300人の手術をし、現に今でも30人の手術をうちでやっていると言うんだろう。だが、そんなのはまったくありえない!」
アイソム医師はさらにこう説明を続けた。
「それに、彼女があなた方に説明したようにコーネル大学医学部を卒業しただけで、すぐに心臓外科医になるなんて、まず不可能です。心臓外科は外科のなかで最も難易度の高い手術を行うため、研修医を10年務めてやっとなれるレベル。もしも彼女がコーネル大学の心臓外科医を名乗っているのであれば、日本ではどうかしらないが、アメリカでは間違いなく犯罪になります。いったい彼女は何者なんですか」
この人を私は知らないが、相当の食わせ物らしい。この人が代表取締役を務めるジェネシスヘルスケアという会社は、楽天三木谷氏も役員を務めている。さて今後どうなるのであろうか?