車載用電池 日本は勝てるのか?

13〜20分

 パナソニックが4月1日、トヨタ自動車とEV(電気自動車)やHV(ハイブリッド車)などに搭載する車載用角形リチウムイオン電池を手がける新たな合弁会社「プライム プラネットエナジー&ソリューションズ」(PPES)を設立して事業を開始した。

これまでも関係が深かったトヨタと車載電池事業を一気に集約して世界市場に挑む方針だが、合弁会社はパナソニックの車載電池の苦戦ぶりをまさに象徴している。

 パナソニックはこれまで、加西事業所(兵庫県加西市)や中国・大連工場など6つの工場で車載電池を生産し、世界の自動車メーカーに供給してきた。PPESは今回、このうち4工場を傘下におさめる。中国子会社を含む約5100人の従業員のうち、大半はパナソニック出身者が占める。

PPESの出資比率はトヨタが51%に対してパナソニックは49%。社長に就任したのはトヨタのパワートレーンカンパニーの好田博昭氏であり、PPESの主導権はトヨタが握る構図だ。

 トヨタ色が強くなれば、トヨタ以外の自動車メーカーへ電池を販売するのは不利になる。それでもPPES設立で合意したのは、多額な設備投資や開発費を体力のあるトヨタがサポートするほうが得策と判断したからだ。裏を返せば、パナソニックは車載用電池ビジネスにおいて一段とトヨタに頼らざるを得ない状況に置かれている。

 パナソニックはかねてから車載電池事業を成長の柱に位置づけてきた。2012年に社長に就任した津賀一宏社長は車載事業を「高成長事業」と位置づけ、2015~2018年度には1兆円の戦略投資枠のうち、過半を車載向けに振り向けるほど、積極的な投資を展開してきた。その結果、世界の車載リチウムイオン電池市場でパナソニックのシェアは2割を占め、トップクラスを誇る。

 しかし、シェアほどに収益は伴わない。中国勢の急伸で車載電池の価格競争に巻き込まれ、2019年3月期の車載事業は121億円の営業赤字。成長エンジンどころか足を引っ張っている状態だ。2019年5月に発表した2022年3月期までの新中期戦略で、車載事業を高成長事業から「再挑戦事業」に格下げした。2020年3月期も第3四半期(2019年4~12月)まで累計292億円の営業赤字を計上している。

 特にパナソニックを苦しめてきたのが中国最大手の寧徳時代新能源科技(CATL)だ。創業は2011年と比較的新しいが、中国のEV市場拡大や政府からの補助金を活用して急成長。BMWなどドイツ車への供給やホンダとの共同開発も手がけるようになり、パナソニックとほぼ同等の約2割の世界シェアを占めるなど勢いづいている。

 2018年前後から中国政府による電池向けの補助金は減少傾向にあるが、事業が軌道に乗ったことで、CATLは大規模投資を連発。2020年2月末には260億元(約4000億円)を投じて4つの生産拠点の増強や新設を行うと発表した。こうした動きを背景に、トヨタはパナソニックからの電池供給に必ずしもこだわらなくなっている。

 トヨタは2019年7月、CATLと世界3位の中国大手BYDと相次いで提携した。巨額投資を続ける中国勢にもはやパナソニック単独で対抗するのは難しいのが現状だ。

 「赤字事業を切り離してトヨタにあげた」。今回のトヨタとの合弁会社について、パナソニック関係者はこう口をそろえる。トヨタと車載電池で正式に合弁会社の設立で合意したのは2019年1月。だが、トヨタと協業検討で合意したのはCATLの勢いが顕著になった2017年12月で、パナソニックとしても単独での成長投資に見切りをつけていたようだ。

 一方、トヨタにとっては、EVをはじめとする電動車にとって最大の弱点である車載電池の安定的な調達とコスト削減が課題になっていた。地球温暖化対策としてガソリン車の販売や排ガスへの規制が強まっており、EVやHVへの需要は根強い。

 トヨタは電動車の販売台数を2018年実績の163万台から2025年に550万台以上にする目標を掲げている。赤字続きとはいえ、世界トップクラスの規模と技術を持つパナソニックの電池事業の主導権を握ることで、電動車向け電池をトヨタグループ内で安定調達するメドをつけたといえる。

 さらに次世代電池の全固体電池の開発も急務だ。全固体電池はリチウムイオン電池よりも燃えにくく、安全で、急速充電性も高いとされ、EV向けの蓄電池として実用化が期待されている。PPESは2020年代前半にも全固体電池を商品化する目標で、技術面で世界をリードすることを狙う。

 パナソニックとトヨタは車載電池以外でも関係を深めている。2020年1月にはパナソニックホームズとトヨタホームをはじめとした両社の住宅事業を統括し、自動運転車や高規格通信網を導入した街づくりを目指す「プライムライフテクノロジーズ」社を設立した。パナソニックとトヨタの同社への出資比率は同率であり(両者のほか三井物産も出資、出資比率は非公開)、パナソニック出身の北野亮氏が社長に就任した。

 パナソニックは、家や暮らしを中心に付加価値を提供する「くらしアップデート」を新しい成長事業分野としており、プライムライフ社で強みを発揮したい構えだ。

一方、パナソニックにとってトヨタと並ぶ車載電池の大口顧客であるテスラには、トヨタ向けと異なる「丸形電池」を供給し続ける。テスラと共同運営するアメリカのEV向け車載電池工場「ギガファクトリー」にパナソニックはこれまでに約2000億円の資金を投じてきた。車載事業を高成長事業に位置づけていた当時の中核工場であり、テスラ向け供給を独占することによってテスラとの蜜月関係を築いてきた。

 2020年2月の決算会見でパナソニックの梅田博和CFOは、赤字続きのギガファクトリーが2019年10~12月期に四半期として初めて黒字化したと説明した。テスラの新型EV「モデル3」の生産が軌道に乗り、それに伴ってパナソニックの丸形車載電池の量産効果も出たためだ。

 だが、テスラは2020年、中国で現地生産するEVの電池はCATLから調達すると決めた。パナソニックとしては、テスラ向けアメリカ事業の投資回収がようやく始まった矢先に、中国へ巨額投資するのは厳しい。そこにCATLが存在感を見せつけた格好で、パナソニックの独占供給が崩れることになった。

 2月下旬には、太陽電池のテスラとの共同生産を解消すると発表。同事業も赤字続きで、2017年の生産開始からわずか3年での撤退となった。

 新型コロナウイルスが拡大し、世界の自動車市場が低迷するなど車載市場も先行きは明るくない。パナソニックのテスラ向け車載電池も感染拡大で生産が一時停止した。トヨタとの関係を強める一方、テスラとの関係は不透明で、パナソニックの車載電池事業は今まさに岐路に立っている。

結局、事業の成否を決するのは資金でしょうか?私はそう思いたくありませんね。人が事業を作ると思いますが。今日はイーロンマスクの話を書きましたが、日本の経営者と全く違いますね。そして中国の経営者も日本の経営者とは全く違います。日本の会社は長く続きすぎます。淘汰を繰り返すことによって常に強い者が出てくるようでないといけないような気がします。こういう話は生物の淘汰と進化と同じでしょうか。日本のパナソニックはすでに弱者になっています。それはずっとパナソニックを生かしてきたからかもしれません。あたかも絶滅寸前の動物を動物園で繁殖させるのに似ています。それでいいのでしょうか?

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