寿命が極端に長いネズミ

5〜8分

 このネズミは、餌が少ない過酷な乾燥地帯を生き抜くため、地下にトンネルを掘って生活している。こうした事情もあって、ほ乳類では珍しく、昆虫のアリと同様に、子どもを産む繁殖メスと、餌を集めて巣を守るワーカーに分業している。

不老長寿。人類が長年思い描く夢を、すでに実現している動物がこの世にいる。その動物こそ、20世紀後半、東アフリカで発見された「ハダカデバネズミ」だ。

 だが、女王だけが長生きするアリと異なり、このネズミは、女王だけでなく、ワーカーも長寿なのだ。

 なぜ、この奇跡が達成されたのか。その理由を探るには、まず、老化について考える必要がある。

 意外に思えるが、実は、老化は生物が進化の過程でわざわざ手に入れた能力だ。単細胞生物は、細胞分裂をくり返すだけで、老いて死ぬことはない。しかし、生命が多細胞生物へと進化する過程で、老死の仕組みが作り出された。

 動物は子どもを産み、その子どもがまた子どもを産んで、新しい個体に遺伝子が引き継がれる。世代交代を促すため、不要となった個体は老死するよう、仕向けられた。

 一方、ハダカデバネズミは、繁殖メスが次々と子どもを産むため、群れを成すワーカーはすべて一匹のメスから生まれた兄弟となる。ワーカーは子どもを産まないから、世代交代をしない。

 兄弟を増やしていく繁殖法なら、古い個体が死ぬ必要はなく、むしろ働き続けたほうが、巣は大きくなる。だからこのネズミは、生存戦略として、老化する能力を退化させたのだ。

 さらに、病気に強く、がんになりにくいことも判明し、なんと30年を超える長寿の個体も発見された。一般にネズミの寿命は数年程度だから、30年は長寿と言っても過言ではない。

 老化と死は我々が獲得したシステムであるのか。考え方を変えなくてはならない。ところでこのハダカデバネズミは、一匹の女王と一匹の王様(生殖用)と働きネズミという階級がある。一匹の女王は戦いによって決められ、勝って女王となった時にホルモンが出て巨大化するそうだ。その女王が生殖用のオスを選び、もっぱら子供を産む。働きネズミはすべて兄弟である。でも遺伝子による奇形とかはないらしい。ここで注目すべきは、生殖にかかわらないメスとオスがいるという点だ。働きネズミの中にはオスもメスもいる。でも彼らは子を産まない。

 こういうシステムはハチにもある。子供を産む女王バチと働きバチとかあり、働きバチには生殖能力がない。ここまでは同じだが働きバチの寿命は短い。だからハダカデバネズミとは異なるのである。使い捨てなのだ。ハダカデバネズミは小集団となっている。増えすぎると互いに殺しあう。そうやって数を制限しているのだ。数を制限すれば、寿命が長い方が有利だ。

 こうやって考えると、人も数を制限するようになっているのかもしれない。互いに殺しあってきたのも納得だ。いま世界の人口が増えている(後進国では)。戦争が起きるのも致し方ないのかもしれない。そうやって人口を増やさないようにし、寿命を延ばしてきたが、人口に歯止めがかからなければ、絶滅するように法則が組まれているのかもしれない。

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